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「夏鮫の事?
あいつも移動させたよ……とりあえず宮殿にね……」
「宮殿……」
「そう!僕達の本部にね!
あいつは……」
微笑んでいた秋醒の表情は険しくなり、どんどん悪意に満ちていく。
「あいつは!あいつは!あいつは!あ゛いつは!」
「──!」
悪意に満ちた表情は崩れ、急に弱々しい表情に変わり顔を歪ませた。
我慢していたものを解放したかのように感じる。
秋醒の瞳には、宝石のように光り輝く液体が浮かび上がってきた。
敵にして、初めて目の当たりにしたもの。
残虐な運営委員会を人間だと感じていなかったから、そんなものは絶対に持っていないと思っていた。
それを見て、何故か胸が締め付けられる。
秋醒の瞳に浮かんだのは、涙。
敵とは思えない程、美しさを感じさせる純粋な涙だった。
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