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振り払われた皇子の刀は風を切り裂き、切っ先は地面に向けられる。
「本当に驚いた。なかなかやるじゃないか」
俺は刀を構え、切っ先を皇子に真っ直ぐ向けて、口を開いた。
「片手しか使ってないにも関わらず、よく言うな」
「甘く見ていた。俺も少し本気にならないとな」
今度こそ皇子は両手で刀の柄を握り、赤い刃を俺に向けた。
次は間違いなく、両腕で切りかかってくる。
能力を使うべきか?
お互い生身で戦っているせいで、一度斬られたら致命傷を負う可能性が高い。そうなれば終わりだぞ。
生身のままでも十分に勝てる奴の自信か……。
俺は能力の発動準備のため、虎徹の柄に力を込め口を開いた。
「能力は使わないのか?」
「能力……?必要ならば使えばいいさ」
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