天才科学者と平民

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古手川仁────────── 闇の部屋に辿り着き、局長が階段を登るために送り出した後、俺は花道院と一対一で向き合った。 爪を構え、静寂な時間は続く。 こいつが運営委員会の幹部の一人。 さっき奇襲攻撃を仕掛ける前に、局長とこいつの会話を聞き、仕入れた唯一の情報。 見た目は肩まで伸びた茶色の長髪に淵が細い形をした眼鏡、おそらく2mは越えた長身に白衣のポケットに両手を突っ込んでるって感じだ。 前、会った時と変わってないな。 「どうしたのですか?怖じ気ついたかな?」 ……花道院は上から見下すように俺に語りかけてきた。 確かに奴の言うとおり、改めて敵を目の当たりにして、心に不安を大きく感じている面はある。 ただそれよりも、俺の心を支えてくれている大きな怒りがあった。 あの時! あの時! 白神山地で黒タマゴって化け物に追えって命令したのはお前だったよな? まなみ! まなみ! 今、俺が敵を討つから!
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