天才科学者と平民

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さっきまで見上げていた光景とは一転し、逆に俺が見下ろす形となった。 破けた服の切れ端を振り払い、俺は毛を奮い立たせた。 まなみのネックレスを、爪の先端に引っ掛け、俺は長く伸びた鬣の毛の奥に隠した。 ネックレスに毛をしっかりと絡ませ、落ちないようにする。 この完全体をどれくらい保っていられるか? 俺、数字って意外と好きなんだ。 ガキの頃から得意だったのが数学だったし、数字に運命を感じる時さえある。 一度きりの訓練時に変化できたのは6分きっかりだった。 6の数字は新撰組の隊の番号。 そして何より、まなみからサプライズで最後に届いたメールも6時ちょうどだった……。 この6分に俺は全てを賭ける! 俺は喉奥底から、怒りを吐き出すように吠えた!
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