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黒い渦が消えた後も、翼を羽ばたかせ続け、空中で静止したままの渋谷。
どうやって移動して来たかはわからないが、この光景を見て、今の状況を理解しようとしているのだろう。
どこか虚ろな表情の悪魔。黒い雷が渋谷の身体を守るように、取り巻いている。
皇子を見ると、渋谷を見て微笑んでいた。
とりあえず呼びかけて、伝えるしかない!
行きは歩きで登ってきたが、フライシューズで飛ばせば下へすぐに着くはず!
「しぶやああああぁあ゛あ!」
俺は渋谷がこっちを向くように、喉が張り裂けそうな程の大声を出した!
虹玉の事だけを伝えられればいいんだ!
「オマ、エか?ユ、ウ君を、殺し、たの、は?」
皇子を真っ直ぐ見据える渋谷からは、強烈な殺気が醸し出される!
その眼差しから感じられるのは、冷静さを欠いた怒りのみ。
渋谷は翼をさらに大きく羽ばたかせ、皇子に向かって一直線に飛び始めた!
「あのバカ!」
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