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『--らわ学園前ーっ。富良和学園前ーっ。終点です』
「兄貴。帯人兄貴、着きやしたぜ」
「ん……ああ」
電車に揺られること2時間弱。
俺は寝っ転がっていた体勢を起こし、首をコキコキ鳴らすと、独占していた座席から立ち上がった。
久々にガキの頃の夢を見ちまった。無理もねえか。もうすぐ逢えるかもしれねえもんな。
思い出の、あの子と……。
「兄貴、どうしやした? 額なんか押さえて」
「いや、何でもねえよ。マサ、見送りはここでいいぞ」
「いえ、あっしも一度“富良和(ふらわ)学園”とやらをこの目で見ておきたかったところです。学園手前までお供しやすよ」
「ったく、いつまで経っても心配性だな」
俺は舎弟のマサと共に、無人のホームに降りた。
俺達の他に下車する奴はいない。つーか既に誰も乗っていない。完全な秘境駅ってやつだ。
俺達は電車を降り、駅を出た。するとすぐに真新しい看板を見付けた。
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