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【ふらわがくえん】
【富良和 学園 →】
矢印の方を見ると、いかにも野生動物が住んでそうな鬱蒼とした森が広がっている。
「あの森の奥か」
「しかし入口も道らしい道も無いですぜ? 本当にこの森の中にあるんですかね?」
心配性のマサの為に、俺は学ランの左ポケットから一枚の写真を取り出した。
「この航空写真を見ろ。森の中に街みてーなのがあんだろ? これが富良和学園らしいぜ」
「はあ、確かに。しかしこの形、まるでトランプのクローバーですね」
マサの言う通り、森はクローバーの形に切り取られ、その中に街が敷き詰められているといった感じだった。
「しかしなんでまたこんな辺境の地に作ったんですかね?」
「調べでは6年前までこの辺一帯は森林地帯で、富良和グループが土地を国からごっそり買い取り学園を作ったそうだが、理由までは知らねえな」
「はあ、金持ちのやる事はよく分かりやせんね」
俺とマサは看板の案内通りに森の中を進んだ。
森の中は獣道しかなく、何度も方向感覚を見失いそうになったが、途中途中に案内板があり、それに従いひたすら茂みの中を突き進んだ。
しばらく進むと俺は妙な違和感を覚え、ふと立ち止まった。
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