白銀のバシリッサ-2

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その動きに合わせるかのように、神刀から膨大な量の黒煙と白煙が一気に噴出される。 ヒカルはあの煙によって常に守られた状態だ。 そう言った意味では、空の間合いは非常に悪かった。 攻撃を行う瞬間には、ヒカルが煙による防御態勢を整えていたから。 しかし、次の瞬間、私は目を疑った。 空はヒカルの煙の間を縫うかの如く、拳を突き出したのだ。 まるで鞭みたいにしなり突き上げた拳は、ヒカルの顎を捉えて凄まじい打撃音を奏でた。 体ごと持ち上げり、数メートルほどの高さまで飛ばされる。 その場から素早く空はまた拳を突き出した。 大蛇のようにしなった拳は、ヒカルの腹部を勢いよく突き刺す。 再び煙の隙間を拳がすり抜けて攻撃に成功した。 脇腹に深く刺さったナイフ。やっぱり深手を負っている分、ヒカルの動きが鈍い? いえ、それがなかったとしても今の攻撃をヒカルは避けることができたのだろうか? さらに飛ばされたヒカルだったが、バランスを立て直して上手く着地をした。 茫然としている中、ルイを見るともどかしい表情をしながら二人の姿をじっと見ている。 私はどうすればいいんだろう。 空はさらなる追撃を行うためにヒカルとの距離を埋めた。
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