白銀のバシリッサ-2

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あの速さと威力に対応する術を私は持っていない。 私の能力では、どうすることもできないだろう。 それなら……。 答えは簡単なことだ。 動きが遅い私でも、今から走り出せば二人の壁となることぐらいはできる。 この身を使って……! 私はPCを放り出して、二人の元に向かって走った。 幸いなことに、私よりも敵の方が二人から距離がある。 動きは敵の方が速いが、私が間に入るのには十分な距離だろう。 だから……! ルイは自分の身を犠牲にしてでも、空を守るつもりなんだろう。 空を本物の母のように抱き締めて、覚悟を決めている。 この二人は死なせちゃいけない……! ヒカル、ルイ、空には生きて、外の世界に出てもらわないと! 私は二人の前に立ち、敵の方を向いて手を大きく広げた。 黒い影は刃みたいに鋭くなり、私の元に迫ってくる。 いつ進む道を間違えてしまったのだろう。 私たちは、自分たちが正しい道を進んできたと確信していた。 星屑が集まって黒い星となるはずが、いつのまにか星屑がまた散ってしまったんだ。 だから……せめて、この三人だけは……! 視界を埋め尽くす黒い影。 私は全てを投げ出して諦めて、そして願いを込めて瞼を強く閉じた。
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