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「ヒカル!」
背負っていた空も一緒に地面に倒れ、ヒカルはうつ伏せになった。
私とルイは、その光景に激しく動揺する。
意識がない……?
立っていられないほど病気が進行していた……?
こんな風に、意識を失って倒れるのは初めてのことだった。
ヒカルの病は、ホワイトマジックのシャルアネットが治療をしてくれなかった……。
もう限界だったのに、ヒカルはずっと無理をしていたのかもしれない。
私たちは薄々気がつきながらも、全員がその事から目を逸らしていたんだ。
「大丈夫……!?」
私は慌てて近寄り、ヒカルの状態を観察した。
一気に頭の中がパニックになる。
何故なら、ヒカルの脇腹から血が流れてきたからだ。
倒れたのは、病気のせいだけじゃない。
地面に広がっていく血の塊。
血が流れている場所からは、ナイフの柄らしき物が飛び出ていた。
どこか遠くから攻撃を受けた……?
いや……違う。
その瞬間、私は全身の体温が奪われるほどゾッとした。
目の前で一緒に倒れていた空が、私をじっと見ていたからだ。
空の能力は、ヒーロースーツ。
テレビ番組の何とか戦隊をモチーフに、自分の肉体を最大限に強化できる能力だ。
でも……それはフェイクで本当は別の能力を秘めていたら……?
例えば、催眠作用を働かせる力とか……。
そこに居る空は、私が知っている空じゃないのかもしれない。
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