白銀のバシリッサ-2

6/20
前へ
/20ページ
次へ
「ヒカル!」 背負っていた空も一緒に地面に倒れ、ヒカルはうつ伏せになった。 私とルイは、その光景に激しく動揺する。 意識がない……? 立っていられないほど病気が進行していた……? こんな風に、意識を失って倒れるのは初めてのことだった。 ヒカルの病は、ホワイトマジックのシャルアネットが治療をしてくれなかった……。 もう限界だったのに、ヒカルはずっと無理をしていたのかもしれない。 私たちは薄々気がつきながらも、全員がその事から目を逸らしていたんだ。 「大丈夫……!?」 私は慌てて近寄り、ヒカルの状態を観察した。 一気に頭の中がパニックになる。 何故なら、ヒカルの脇腹から血が流れてきたからだ。 倒れたのは、病気のせいだけじゃない。 地面に広がっていく血の塊。 血が流れている場所からは、ナイフの柄らしき物が飛び出ていた。 どこか遠くから攻撃を受けた……? いや……違う。 その瞬間、私は全身の体温が奪われるほどゾッとした。 目の前で一緒に倒れていた空が、私をじっと見ていたからだ。 空の能力は、ヒーロースーツ。 テレビ番組の何とか戦隊をモチーフに、自分の肉体を最大限に強化できる能力だ。 でも……それはフェイクで本当は別の能力を秘めていたら……? 例えば、催眠作用を働かせる力とか……。 そこに居る空は、私が知っている空じゃないのかもしれない。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

418人が本棚に入れています
本棚に追加