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空はゆっくりと起き上がると、背後からそっとヒカルの体を押さえつけた。
ぎゅうっと、背中に置かれた手に強く力が入ったことがわかる。
ヒカルは意識を失ったのか、空に抵抗することはなかった。
「何……してるの……?」
私は少し声をひきつらせながら呟くように言った。
「ふうー」
空は小さく息を吐くと、残った片方の手を伸ばして大きく伸びをする。
ルイは表情を変えずに動揺することなく、空の事をじっと見ていた。
「本当はこんな形を望んでいたわけじゃないんだけどね」
空は少し切なそうな顔をして、ヒカルの背中に視線を落とす。
この時、頭の中が混乱に陥りながらも私は状況を理解した。
シャルキー、卑弥呼、そしてヒカルを襲ったのは間違いなく空だってことを……。
「でも……」
吹っ切れたような顔つきをする空は、やはり私たちの知っている空じゃなかった。
目の前には別人が居る感覚。だけど、それは誰に操られているわけでもない。
間違いなく空だった。
過ごした時間が長いからこそわかることだった。
空は視線を上げて、私とルイを見ながらこう言った。
「しょうがないよ。みんなが反対するからね」
ヒーロースーツから醸し出された何かは能力を放つ際に生じる独特の雰囲気。
私とルイは、警戒しながらも空の話に耳を傾けた。
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