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「だからこそ、道を見失いそうになったヒカルお兄ちゃんを殴ったんだ。僕にとっては大切な人だから。でも……それだけだ。嘘もついた。考え方はみんなと違う。僕はブラックスターのみんなだけがそばに居てくれればそれでいい」
ヒーロースーツで顔を覆われているため表情はわからなかったが、空が話している言葉はどれも冗談や嘘を言っている様子ではなかった。
「はっきり言えよ」
ルイが取り乱すことなく、冷たくそう言い放つ。
空は、その言葉に対してこう返答した。
「僕は世界を変える瞬間の支持派だ。それがみんなの生き残る道になる。キョウカまで辿り着かせるわけにはいかないんだ」
私は、空が話す一つ一つの言葉に落胆した。
同時に、現実か夢かわからなくなりそうだった。
夢ならば、どんなに良いことだろう。
これが現実だなんて信じられない……。
「そういう……ことか……」
その時、私、ルイ、空以外の者が静かに言った。
声の主はヒカル。私たちが視線を向けると、ヒカルは辛そうに体を起こして話し続けた。
「キョウカよりも仲間が優先……。それは当然の事なのかもしれないな」
ヒカルの脇腹からは真っ赤な液体が滴っている。
「俺は大人として責任をとらなきゃな」
さらにヒカルは首を横に振ってから口を開いた。
「それがケジメってやつだ」
ヒカルの手には、さっきまで地面に転がっていた神刀が握られていた。
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