黒い星として

35/38
500人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
光刀がレオンが乗る兵器の胸元に深く突き刺さった。 切っ先から根本まで隠れ、今は鍔と柄しか見えない状態だ。 傷口から溢れだす体内エネルギー。 途端に、手に凄まじい力が伝わり、突き刺さっていた光刀が体の中から押し返されていく。 俺はその力に耐えきれず、光刀を抜いて一度大きく身を退いた。 追撃こそしてこないものの、レオンが乗る兵器に異変が起こる。 奇妙な光景だった。 まるで壊れたおもちゃが誰かの手によって修理されていくみたいに、レオンが乗る兵器の傷口が回復されていく。 この兵器の動力はレオンの体内エネルギーだ。 つまり体内エネルギーがレオンから放出される限りは、いくらでも再生ができるってことか……。 逆に考えれば、その体内エネルギーが尽きれば再生されることもなくなる。 体内エネルギーはどんな人間でも無限にあるものじゃない。 ましてや、あれだけの大きな物を操作しているんだ。 当然、他の能力よりも燃費は相当悪いだろう。 だからこそ、レオンの戦闘スタイルは超攻撃型なのかもしれない。 短期戦に持ち込むために……。 『正確な観察力だな。驚いたぞ。狙うはガス欠だな』 それを許してくれるほど、楽な相手じゃないけどな。 レオンが乗る兵器は再生が終わると同時に動き出した。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!