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私はユキヤのその表情に怒りを覚えて、同時に目からは涙が溢れた。
やっぱり私の勘違いだったのかもしれない。
昔のユキヤに戻ったなんて……!
こいつはこういう人間なんだ。
ずっと一緒に作り上げてきた仲間が瀕死の状態に陥っても、何とも思わない。
平然とした顔をしている冷酷な人間だ。感情なんてない。
そう思った矢先だった、ユキヤは屈みこんで私とルイの間に割って入ってくる。
「邪魔、邪魔」
すると、今までに見たことがないほどの優しい手つきで空の頬に触れた。
「辛いだろ? 空……」
空は虚ろな瞳でユキヤの方に視線だけを向ける。
その時、空の瞳にうっすらと涙が浮き上がってきた。
「そんなに心配した顔すんな。俺が来たからにはもう大丈夫だって」
「え?」
私とルイはユキヤの言葉に茫然とした。
ユキヤの全身から放出される体内エネルギー。
能力を発動する瞬間に生じる独特の雰囲気が流れた。
手の平の上に浮かび上がる体内エネルギー。
それは私がぞっとするほどの量だった。
見えない粘土を手の平に乗せて作り出していっている。
小さいけど、とてつもない体内エネルギーを含んだ固まり。
ユキヤの命を削っているのは明らかだった……。
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