黒い星として

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――――天海まみ―――― 「ユキヤ!」 あまりに唐突な出来事に、少なくとも私とルイと空は戸惑いを覚えただろう。 ヒカルは腹部の傷を押さえながら、冷静な顔つきでユキヤを見ていた。 探して会いに行くつもりだったのに、まさか向こうから現れるなんて。 それも私たちが窮地のタイミングで……。 「なんで、あんたがここに……?」 ルイの怒号に近い声に、ユキヤは気だるそうに答えた。 「なんでって……。なんでだろうな……」 私はそう答えるユキヤに違和感を覚えた。 いや、私だけじゃないだろう。 ブラックスターを抜けてから殺伐としていたユキヤとは、どこか異なる雰囲気を醸し出している。 そう……、前のユキヤに戻ったかのような。 冷たい言い方や態度を取るが、どこか気恥ずかしそうにして、瞳の奥には無邪気さが隠れている。 あの時のユキヤが目の前に居るようだった……。 そして、何故かわからないが、ユキヤは今までの事を全てなかったかのような振る舞いをして、私たちに接してくる。 本物のユキヤなのか……? だからこそ、私たちはそんなユキヤを見ながら戸惑うことしかできなかったんだ……。
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