黒い星として

7/38

500人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
別の人間の体内エネルギーなんて、ありうる話なのか……? いや、私は実例を一度だけ見たことがある。 死神の戦いで、渋谷和也の体の中にはレッドキングダムの王の体内エネルギーが存在していた。 あれには驚かされたけど、ユキヤの場合は少し違う気がする。 私はユキヤの体に照準を合わせて解析をかけた。 心臓に近い位置。その付近、10cmほどの範囲で別の者の体内エネルギーがそのまま入っているんだ。 何かの能力……? さらに、私は解析を続けた。 もしかすると、何らかの能力によってユキヤは誰かに操られているのかもしれない。 しかし、私の予想が外れたことを画面の解析結果が教えてくれる。 脳波を読み取ってみたけど、ユキヤが操られている可能性は低いとコンピューターは判断している。 ただし、能力については不明との答えが出た。 じゃあ、この物体は何? 物体? 「天海!」 先頭を走るユキヤが突然大きな声で私に呼びかけてきた。 「余計な詮索はするな」 冷たく針のように鋭い一言が響き渡る。 どれくらい走ったのだろうか。 すっかり背後から敵の気配が消えた頃、深い闇が広がる森の終わりが見えてきた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

500人が本棚に入れています
本棚に追加