黒い星として

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「はあはあ」 私とユキヤとルイは、息を切らしながら全員で地面に仰向けで倒れた。 こんなに走ったのはいつぶりだろう……。 私は寝転びながらも、PCのキーボードを叩いて敵が追ってきているか調べた。 どうやら走っている途中に敵は振り切ることができたらしい。 森を抜けることができた……。ここはどこなんだろう……。 メインストーリーはおおまかに分けると全部で10の層で作られている。 最深部まで辿り着けば、私たちの探していた京香が居るはずだ。 私はPCを操作しながら位置検索を行った。 この森を抜ければ、第5層に移動するはずなんだけど……。 画面には、第9層と書かれている。 何で……!? 何かの間違いじゃないかと思ったけど、どうやらここは第9層で当っているみたいね。 「メインストーリーは順当に進めなくても、別の層に一気に行く道もあるんだ。システムをハッキングしたお前でもそれに気付かなかったか……」 ユキヤは体を起こしながら私の方を見てそう言った。 そう言えば、私は正規のルートしか調べていない。 森を抜けてきた道は、よく見ると私が調べた道とは全く別だ。 ユキヤは運営側だから知ってるんだよね……。 心は複雑な心境に陥る。 その時、ルイの悲鳴に近い声が響き渡った。
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