黒い星として

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「空が! 空がやばい!」 ルイは我を忘れたかのような表情で、空の胸から止めどなく溢れる血を両手で必死に塞いでいる。 「死んじゃう! 死んじゃうよ!」 あの怪我じゃ……。 私は歯を食いしばりながら、その光景を見ていた。 仰向けに寝た空は、ぼんやりとした瞳で上を見ている。 意識があるのが不思議に思うほどの怪我だ。 それでも……。 私はルイの隣に駆け寄り、空の胸から溢れた血を一緒に押さえた。 PCで助かる方法を検索しても、意味がないだろう。 空が助かる可能性はどんな方法も見つからないからだ。 それでも、私の体は勝手に動き、空に助かってほしいと必死に願っている。 ルイは大粒の涙を零しながら、空に語りかけた。 「ごめんね……。ごめんね! 空! あたしが一緒につれてきちゃったから!」 ルイはあまりの恐怖に体を小刻みに震わせながら、空にしがみつくようにして必死に抱きしめている。 私の心もそんなルイを見て、失うことへの恐怖を感じていた。 「ったく……」 そんな中、背後からユキヤが私たちに近づいてきた。 振り向くと、後ろには気ダルそうな顔をしたユキヤが私たちを見下ろしていた。
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