黒い星として-2

10/35

504人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
でも、逃げるわけにはいかない。 この先に進むためにはあいつに勝つしかないんだ。 俺は爆心地をよく観察した。 抉れるように大きく穴が空いた地面。 攻撃力は、明らかに俺の心力で防げるようなものじゃなかった。 でも、それよりも気になったのがその場所で漂っている命力だ。 まるでナイフのように鋭く、触れれば人間を切り裂くことなど容易いことが想像できる。 確かに恐ろしい能力だけど、相手の能力がわかれば対処法は必ず存在するはずだ。 冷静になれ。頭で考えるんだ。 「どうしたの~? 怖気づいたのかしら? かわいいわねえ」 煙を吐きながら、女はにやりと嫌な笑みを浮かべた。 俺は足裏に力を入れながら、女の体内エネルギーと肉体を観察してみた。 そこで、すぐにある事に気が付く。 敵の体から溢れる体内エネルギーは、漂っているものと同じく鋭くなっているが、体の強度は心力などで守られていない。 つまり、一撃でも攻撃が成功すれば、敵は大きなダメージを喰らうことになる。 何故、そんなハイリスクな状態なんだ? 考えろ。 俺は頭の中で最善の策を考え始めた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

504人が本棚に入れています
本棚に追加