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でも、逃げるわけにはいかない。
この先に進むためにはあいつに勝つしかないんだ。
俺は爆心地をよく観察した。
抉れるように大きく穴が空いた地面。
攻撃力は、明らかに俺の心力で防げるようなものじゃなかった。
でも、それよりも気になったのがその場所で漂っている命力だ。
まるでナイフのように鋭く、触れれば人間を切り裂くことなど容易いことが想像できる。
確かに恐ろしい能力だけど、相手の能力がわかれば対処法は必ず存在するはずだ。
冷静になれ。頭で考えるんだ。
「どうしたの~? 怖気づいたのかしら? かわいいわねえ」
煙を吐きながら、女はにやりと嫌な笑みを浮かべた。
俺は足裏に力を入れながら、女の体内エネルギーと肉体を観察してみた。
そこで、すぐにある事に気が付く。
敵の体から溢れる体内エネルギーは、漂っているものと同じく鋭くなっているが、体の強度は心力などで守られていない。
つまり、一撃でも攻撃が成功すれば、敵は大きなダメージを喰らうことになる。
何故、そんなハイリスクな状態なんだ?
考えろ。
俺は頭の中で最善の策を考え始めた。
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