黒い星として-2

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相手は、俺の事をほとんど知らないはず。 戦い方の癖や、能力の内容など、初めて戦う者なら知らなくて当然だろう。 それは俺にとっても同じだが、相手を見極めること、つまり本質を見抜くことには自信がある。 だからこそ、一気に勝とうとは思わずに、確実に勝率を上げていくんだ。 相手を知り尽くせば、如何に実力に差があっても、必ず勝てるはず。 俺は、その考えに自信を持っていた。 アニーは、俺が逃げたことに気がつくと、辺りを見渡した。 地上にいない事に気が付くと、今度は視線を上に向ける。 そこで、ようやく俺の姿を見つけて、上へ逃げた事に気がついた。 この間、僅か2秒近くの出来事だが、アニーに隙が生まれていた。 姿を探すタイミングで攻撃を仕掛けるのは、リスクとしてもあまり高くない。 まだ始まったばかりだ。 焦るな。確実にあいつを倒すために……。 アニーはその場から手を伸ばし、能力を発動させた。 手の平から生み出す突風が、俺に向かって放たれる。 この風が厄介なんだ。 まるで刃のように鋭い風。 俺は、自分の靴を投げ飛ばした。 靴が風に触れると、目映い光を解き放ち、爆発を引き起こした。
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