黒い星として-2

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拳はアニーの顔面を躊躇なく狙った。 体を獣化させた事により、拳は人間よりも大きく重みがある。 技を放つ時間は与えない。 アニーもそう判断したのか、すぐさま受け身の構えをとった。 俺の拳をはっきりと目で捉えている。 案の定、拳はアニーの手の平ですんなりと受け止められた。 まるで岩を殴ったようにアニーの手の平は硬かった。 鈍い音だけが響き渡る。 アニーは余裕の笑みを浮かべて、嫌な目つきで俺を見てきた。 すぐにでも狩ることができると言わんばかりの強者の態度。 俺はそのまま獣となった足で、アニーの事を全力で蹴りつけた。 しかし、アニーの細い腕で軽々しく防御される。 この細い腕に纏っているのは、防御のみに特化した洗練されている心力だ。 攻撃の際には生身になるが、逆に攻撃を受けた際には防御に徹する。 その時、アニーの心力が解かれて命力が全身から大量に溢れた。 攻撃が来る……! 全身に悪寒を感じて、全神経がアニーの動きに集中した。 この距離から放たれると、間違いなく避けられないだろう。 俺は即座に獅子の爪を生やした。 アニーの攻撃よりも早く! そのままアニーの首元を狙い、獅子の爪を振った!
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