黒い星として-2

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寸前のところ、首の皮をかすったところで咄嗟に反応したアニーが身を退いてぎりぎりのところで避けた。 俺の方が動きは速い……。 そう確信を持って追撃をしようとした時、俺とアニーの視線が交わった。 殺気に満ち溢れた、とてつもない憎悪。 「あらあ。雑魚に傷を負わされるなんて……!」 その瞬間、視界が右にぶっ飛んだ。 次に体が反応したのは頭部への激しい衝撃。 俺は視界がぐちゃぐちゃになるほど激しく吹き飛ばされた。 蹴られた……? 地面に這いつくばり、頭に感じる痛みを堪えながらすぐさま体勢を立て直すために足に力を入れて立ち上がる。 「なかなか観察力があるのねえ」 数十メートルは離れたアニーはその場から動こうとはせずに、首についたかすり傷の血を指先で拭き取った。 「わたしの戦闘スタイルを観察して、攻撃と防御を見極める。やるじゃなあい。でも……ここまでよ。今の手段は一度きりしか使えない」 確かにそうだ……。 アニーの全身からは命力が溢れる。      フウジン 「能力名、風刃。わたしは能力は黒田研究員が自ら作り出した純正インジェクションなの。これを破らない事にはあなたに勝ち目はないわ」 そうだ……。 切り札は一度しか使えない……。 だから、相手が確信を持った時にこそ切り札を使うんだ。 俺は自分の体から“黒い力”を呼び覚ました。
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