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死神の力……。
この力は、俺が自分で身につけたものじゃない。
自分の体の中に残っているおぞましい力だ。
残したかったわけでもない。
少しずつ俺の体を蝕み、破滅へと導いていく。
死に至る病と同様だ。
同じ過ちは繰り返さない。
だけど、今はこの力に頼るしかないんだ。
俺ができること……。
それは、目の前の敵を倒して、少しでも和也、美沙、杏奈の危険を減らすことだから……。
全身から噴き出す黒いエネルギーは、急激に俺の体を蝕みながら、信じられないほどの力を与えてくれる。
アニーが異変を認識して顔色が変わる時には、俺は動き出していた。
ただ、真っ直ぐに敵に向かって走る。
風が放たれる方が早かったが、俺は構わず一直線に突進した。
前方から吹きつける激しい風。
接触すると、刃のように鋭い風が全身を切り刻むが不思議と痛みは感じなかった。
爆発する前に風を切り抜けた。
後方では激しい爆発を引き起こすが、アニーの目の前に辿り着く。
顔、腕、胸、腹、足、様々な場所に傷を負ったことで、激しく血が飛散する。
俺は獅子の爪を振り上げた。
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