黒い星として-2

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アニーは再び心力を放出して防御体勢に入ったが、瞬時に後方へ跳ぼうとした。 俺の黒い力を、心力では防げないと判断したのだろう。 最初から後ろへ跳んでいたら避けられたかもしれないが、既に手遅れだ。 爪を振った時の軌道からは逃れられない。 アニーの顔は引きつっていた。 俺は、その表情をよく知っている。 心の中で恐怖を抱いた時に出る顔だ。 黒い力を纏った獅子の爪を、俺は殺意を持ってアニーに向かって振った。 狙ったのは首もと。 おそらく簡単に首が吹き飛ぶだろう。 首を狙われていることに気がついたアニーは、慌てて倒れるように上体を大きく反らして避けようとした。 遅い……! 上体を反らしたことにより首には当たらなかったが、アニーの胸元を爪がえぐった。 爪を振り切ると同時に、凄まじい量の返り血が視界を埋め尽くす。 「ぎゃあああ゛ああ」 アニーの醜い悲鳴が響き渡った。 上体を反らしたアニーは、そのまま仰向けに地面へ倒れ込んだ。 血飛沫が、地面に斑点を作り出す。 予想外なことが起きたことで、アニーは完全にパニックに陥っていた。 悪いな。 あんたの方が俺よりも遥かに実力は上だ。 勝負は切り札を使うことに成功した俺の勝ちだ。 俺は爪を構えて、地面に倒れたアニーに止めの一撃を放った。
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