504人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
アニーは再び心力を放出して防御体勢に入ったが、瞬時に後方へ跳ぼうとした。
俺の黒い力を、心力では防げないと判断したのだろう。
最初から後ろへ跳んでいたら避けられたかもしれないが、既に手遅れだ。
爪を振った時の軌道からは逃れられない。
アニーの顔は引きつっていた。
俺は、その表情をよく知っている。
心の中で恐怖を抱いた時に出る顔だ。
黒い力を纏った獅子の爪を、俺は殺意を持ってアニーに向かって振った。
狙ったのは首もと。
おそらく簡単に首が吹き飛ぶだろう。
首を狙われていることに気がついたアニーは、慌てて倒れるように上体を大きく反らして避けようとした。
遅い……!
上体を反らしたことにより首には当たらなかったが、アニーの胸元を爪がえぐった。
爪を振り切ると同時に、凄まじい量の返り血が視界を埋め尽くす。
「ぎゃあああ゛ああ」
アニーの醜い悲鳴が響き渡った。
上体を反らしたアニーは、そのまま仰向けに地面へ倒れ込んだ。
血飛沫が、地面に斑点を作り出す。
予想外なことが起きたことで、アニーは完全にパニックに陥っていた。
悪いな。
あんたの方が俺よりも遥かに実力は上だ。
勝負は切り札を使うことに成功した俺の勝ちだ。
俺は爪を構えて、地面に倒れたアニーに止めの一撃を放った。
最初のコメントを投稿しよう!