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相手の実力は……俺が全力の状態で挑んだとしても、ほぼ勝率は0に近いだろう。
アニーのように油断した隙をついての攻撃もきかない……。
王龍は、鋭い目線で俺を見てきた。
「それに……、その死神の力も体には毒じゃろ。持っている限りは、自分の命を削る。トランプで言えば、JOKERみたいなもんじゃな」
そう言うと、王龍はニヤリと深い笑みを浮かべる。
王龍は、片手を俺に向けてきた。
威嚇。お前には片手で十分だと言われた気がした。
本気を出せば、一瞬だと……。
俺は、その姿を見て無言で獅子御輿を解除した。
くそっ。
情けないけど、戦わない方がいい。
ただの理屈じゃない。
どちらかと言えば、本能的な行動だった……。
「それでいい。わしの役目は、運営側の死人を安らかな場所に連れていく事にしたんじゃ。もう無駄な戦いはしたくはない」
俺は、そんな王龍の様子を何も答えることなく見ていた。
王龍は血に染まったアニーを抱えたまま立ち上がり、俺にぎりぎり聞こえるほどの声で呟く。
「どうせ、この先でプレイヤー側は全員が死ぬことになるんじゃから」
言い終える時、王龍とアニーの姿は既に視界から消えていた。
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