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攻撃は単純なものだった。
光刀に命力を集中させて、閃光を飛ばしただけのもの。
その時、景色が歪むほど、目の前から熱気が漂ってきた。
レオンが居る位置を中心的に、何かが起きたんだ。
光刀の閃光は、レオンの体に触れると蒸発するように消えてしまった。
『気を付けろ。奴の全身が異常なほど高い熱を発している。触れるだけでも、こっちにとっては致命的なダメージを負わされる可能性がある』
それが奴の能力ってことかよ……。
近づくことすら困難なほどの熱気。
身体中が焼けるように熱かった。
それに伴い、俺は自然と身を退き始めた。
恐怖を覚える。
こんな能力、ありなのかよ。
レオンはまだその場から動いてすらいない。
あいつが襲いかかってくるだけで、俺は敗北するんじゃないだろうか?
頭の中が真っ白になった。
対策できる手段がない……。
近づいてこられるだけで死ぬかもしれないんだ。
『落ち着け和也。冷静さを失えば、こちら側の敗北が確定するぞ』
恐怖で体が小刻みに震えた。
遠く離れているが、レオンは真っ直ぐ俺のことを見据えている。
これで終わりかもしれない。
それ以外に考えることができなかった。
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