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「助けたのは善意ではない。それは理解できるか?」
シャルアネットの雰囲気は、同じ女性とは思えないほどの威圧感だった。
美しさを備えた容姿と、その実力は、私が男なら間違いなく惚れていただろう。
私は質問に対して頷いた。
「先で見てきた事を全て話してもらおう。その他人から奪った能力もな……」
シャルアネットは、私の能力を見抜いているようだった。
「ちなみに、あれは私でも治療ができなかった」
シャルアネットが私から視線を外してそう言った。
私はただ視線の先を見る。
テントの中には、シャルアネット以外には誰もいない。
でも、1つの死体が転がっていた。
ルイのデッドマリオネットだ。
私は運ばれたからこそ、シャルアネットが助けてくれたんだ。
「もう1つ話しておこう。私は治癒系の能力を応用して、他人の能力を解析することができる。嘘は自分の身のためにならないことを心得といてくれ」
はったりを言っている感じではなかった。
ただ、口調はまだ優しいが殺意を押さえ込んでいることはわかる。
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