黒い星として-2

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その人物を見て、俺は唖然とする意外なかった。 あり得ない……。だけど、死ぬ間際ということもあれば、そういうこともあるのかもしれないと、妙に納得してしまう部分もあった。 急に辺りが静寂に包まれて、時が停止したような気がした。 俺とその人以外の時間は全て止まり、二人きりの世界になったみたいな。 既に、自分が死んでお迎えにでも来たのだろうか? 「随分と苦労しているみたいだな」 その人物は、ニヤリと笑い俺のことを見てそう言った。 美しいほどの長髪。頭に巻いたターバン。少し焼けた肌。 何度見ても、間違いじゃなかった。 「シンバさん……」 頭の中で声が聞こえたような事がしたのは、これまでに何度かある。 だけど、姿まで見たのはこれが初めての事だった。 「どうして、ここに……?」 生きていた? いや、そんなはずがない。 だって、シンバさんは死んだんだから。 シンバさんは、俺の目の前で胡座を組んで座った。 「だいぶ強くなったみてえじゃねえか。ここまで来るのにだいぶ苦労しただろ?」 その声。そして、厳しい中に隠れた優しさ。 「俺は……」 何かを言おうとしたが、俺は言葉に詰まった。
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