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「ああ。でも、死ぬ間際に思念と飛ばしたからな。こう見えても、お前とは会っていない俺だ。だからこそ、言う」
シンバさんは立ち上がり、俺に手を差し伸べてくれた。
俺はその手をしっかりと掴み、しっかりと自分の足で立ち上がった。
「俺は正々堂々の勝負で敗北したんだ。だから、その辺りは気にするなよ」
いつもの楽しそうにしているシンバさんの顔だ。
「まあ、色々と後悔はあるけどな。俺が確信したのは……やっぱり王はお前に力を託して正解だったと思っているよ。きっとな」
「どういう意味ですか?」
その言葉を発した直後、シンバさんは急におれの胸倉を掴んで厳しい表情をした。
「あとは自分で考えろ。そして、その目で確かめてこい。一番最後に何が待っているのか」
そして、また優しい笑顔に戻る。
「じゃあな。お前なりに頑張れよ」
段々と薄れていくシンバさん。
目映い光に包まれながら、姿を消していく。
「シンバさん! また会えますか?」
「残念だが、これで本当に最後だ。お前なら勝てる。自分の力を信じればいい」
自分の力を……。
俺は目を閉じて、光刀を握り締めた……。
自分の力を……。
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