黒い星として-2

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目を開けると、どこか別の世界から帰ってきたかのような感覚に陥った。 レオンが放つ灼熱は変わらず、あまりの暑さにそこら中が歪んで見える。 『大丈夫か? 一瞬、気を失っているように見えたぞ?』 ああ。大丈夫だ。 俺が心の中で返事をすると、光刀は『そうか』とだけ呟いた。 「まだ、これからだ」 諦めない……そうシンバさんに教わったから……。 俺は光刀を強く握り締めた。 体から滲み出ている体内エネルギーを抑え込み、ゆっくりと呼吸する。 『何してるんだ? 生身だと死ぬぞ!』 奇跡を起こすしかないだろ……。 自分の手で……。 アイツに対抗するには、どんな事でもやってみなきゃいけない。 思い出せ。思い出すんだ。 死神と戦った時、俺が手にした力の事を……。 俺はゆっくりと自分の体内エネルギーを光刀に送り込んだ。 『これは……』 リミットタイムでもアルティメットブレイクでもない……。 俺が持つ自分だけの力を解放するんだ。 体の中で、か細い声が聞こえたような気がした。 その声の主は光刀じゃない。 初老を感じさせる男の声だった。 存 分 に 発 揮 し ろ 王の力が体の中から溢れはじめる。
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