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――――古手川仁――――
必ず勝つ。そう決めていた……。
和也が巨大な怪物の体の下に押し潰されると、その後、土方さんは何かの気配を察して化物の上へと姿を消していった。
怪物の上でいくつかの体内エネルギーを感じるところから考えるに、和也も生きていると思う……。
俺はできるだけ感覚を研ぎ澄ませて、上の様子を窺おうとした。
そんな中、少し離れた場所に立っていたブルーダイヤモンドのリーダーのアロが話しかけてきた。
「他の者の心配よりもまずは自分の心配をしろ」
そう言い残すと、俺に背を向けてどこかに歩き出す。
「どこへ?」
「別の敵と戦う。これが最後の戦いになるだろうからな」
最後?
アロの背中を視線で追っていると、突然、頭上から気配を感じて俺は咄嗟に大きく身を退いた。
直後、自分が立っていた場所の地面が爆発でも起こしたかのように粉々に砕け、大量の土の塊が飛散する。
誰だ?
「あらぁ。その雑魚クオリティでよく避けることができたじゃなあい」
そこに降り立ったのは、赤いドレスを着た女だった。
女はドレスの裾に付着した汚れを手で払うと、煙草を取り出して火を点けた。
その動作をただ黙って見守っていたのは、対峙した際に感じた相手の実力からだった。
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