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一か八かの賭けか……。
レオンまでの距離はおよそ30メートル。
光刀の作戦は、自分では到底思いつかない内容だった。
だからこそ、ぶっつけ本番が怖くもあり、一方でその賭けを信じたくもなる。
できるのか……?
その迷いを断ち切るかのように、俺は手に持つ光刀の柄を強く握り締めて命力を注ぎ込み始めた。
できるだけ多く注ぎ込んだ方が良い。
『まだだ。焦るなよ。できるだけ引き寄せてからの方が良い。距離が縮まった方が君の動きに反応するのが遅れるはずだ』
光刀をただ信じるしかない。
俺は光刀に命力を注ぎ込み続けた。
レオンほどの実力者に、こんな作戦が通用するとは思えない。
頭の中は近づく死と恐怖で支配され始めていた。
臆するな。
いくらそう思っても心がそれを許さない。
今だけ。今だけ集中できればそれで良いんだ。
『よし。これだけの命力があれば、多分大丈夫だろう』
本当に足りるのか……?
『大丈夫だ。あとの体内エネルギーは君の為にとっておけ』
わかった。
『じゃあ行くぞ。集中しろよ。一度きりしかチャンスはないんだ』
レオンがさらに一歩進んだ時、俺は立ち上り光刀を構えて走り出した。
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