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レオンの口からは大量の血が吐き出される。
それでもレオンは、倒れることはなかった。
ふらつきながらも、ゆっくりと俺の方へ足を進めてくる。
視界が霞んだ。
駄目だ……。
俺も立ち上がらないと……。
しかし、もう足が全く動かない……。
『私にはこれくらいの事しかできないが』
光刀の白煙が全身を包み込んでくれた。
『これで防ぐことくらいしかできないな』
ここまでか……。
『何度も言うが諦めるな。向こうは致命傷を負った。もうじき死ぬはずだ。騙し討ちとはいえ、君が勝ったんだ』
そうなのか……?
『先に話しておくが、私は君と過ごしていた時間に後悔はない。もし殺られる時は私も永遠の眠りにつく』
「光刀……」
『だから心配するなよ』
光刀の柄を俺は強く握り締めていた。
握り締めることはできても、もう立ち上がることは出来ないなんて……。
レオンが段々と近づいてきている。
「本当に……俺は勝ったのか……?」
俺は死を覚悟して、何とか立ち上がろうとした。
ぎしぎしと音が鳴るほど疲弊した体。
何とか足が動き始めて、今にも倒れそうなほど不安定だった。
足がもう動かない……。
再び倒れそうな時、横に人の気配を感じた。
「そうですよ。どんな形であれ、勝ちは勝ちです。誇っていいですよ」
その気配は倒れそうな俺を支えてくれる。
見上げると、天草総長が立っていた。
「情けない姿ではありますが……。それに、私に何度助けられてるんですか?」
天草総長……?
「私の獲物を狩りにきました」
天草総長は、満面の笑みを浮かべた。
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