龍の心臓部まで-2

13/31
前へ
/31ページ
次へ
「貴方が無事に生き残る方法があれば一つしかない」 シャルキーは落下しながらも、俺に近づいてきた。 目の前まで来たシャルキーは、俺の肩を力強く掴んでくる。 「そう……私の体内エネルギーを全て貴方に渡せばいいのよ」 「――――!」 「自分の体内エネルギーと、私の体内エネルギーを合わせれば貴方は地面に着いた時、死ぬ事はない」 「そんな事したら、お前は死ぬんじゃないのか?」 言葉通りになるだろう。 人に体内エネルギーを渡しせば、その分、自分の体内エネルギーが減る。 シャルキーは俺から視線を逸らすと、真上を見ながらこう言った。 「言ったでしょ? 運命は貴方を求めているの。そう、この先の未来を作り出すために。私が予知能力を持ったのも、そしてここに居る意味も……きっと全ては定められていて、貴方を助けるために存在したと言ってもいい」 「そんな事って……」 「それほど残酷な運命がこの先で待ち受けているわ」 肩を掴んだシャルキーの手から、俺の体に体内エネルギーが流れ始めた。 「本当にそんな事をするつもりなのか?」 俺の問いにシャルキーは答えなかった。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

518人が本棚に入れています
本棚に追加