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「この先の道は、貴方の選択肢により大きく変わっていく。ああ。ようやく全ての未来が見えてきた」
シャルキーは、あえて俺から遠く離れた位置に移動する。
俺に余計な気を遣わせないとする行動だとわかった。
離れ終えると、まるで、眠るように重たそうな瞼を閉じた。
「私は人の心が理解できない。だからこそ、過去が見える能力を求めた。人の心を理解するのは、過去がわかれば理解できると思ったから。でも、それだけじゃなかった。大事なのは人の心と向き合う姿勢だった。そう考えれば、私たちが進んできた道は間違っていたのかもしれないわ」
全ての体内エネルギーを俺に渡したせいだろう。
シャルキーからは、みるみるうちに生気がなくなっていく。
「俺はあなたの命よりも価値があるのかわからない」
少し笑うシャルキー。
「大丈夫。自信を持っていいわ。その代わり、一つだけ流れ星にお願い事をするように聞いて欲しいことがあるんだけど、聞いてもらっていいかしら?」
俺は無言で、その言葉を受け入れた。
「ヒカルを信じてあげて……。櫻井京香。彼女だけは救いたい。それが私たちが生きてきた理由だから。私が話せるのはここまでよ。聞いてくれてありがとう……」
その言葉を最後に、シャルキーはもう口を開くことはなかった。
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