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――――古手川仁――――
獅子の足を使い、最速で走り続けたおかげだろう。
俺はようやく美沙と杏奈の乗る爬虫類に追いつくことができた。
「仁くん……!」
杏奈が俺の事に気が付いて降りてくる。
「やっと追いついたな」
息はとっくに上がっていた。
途中で休憩を挟もうかと思ったが、今となっては走り続けてよかったと思っている。
美沙も降りてくると、バッグから水を取り出して俺に渡してくれた。
おそらくフードガンで作り出した水をストックして持っていてくれたのだろう。
俺はそれを一気に飲み干してから口を開いた。
「他のプレイヤーはいないのか?」
「まだいないわ」
杏奈は後ろを見ながらそう答えた。
俺たち以外に、ここまで辿り着いたプレイヤーはいないってことか。
「敵に襲われなかったか?」
次の質問に、杏奈と美沙は同時に頷いた。
「あれ以来、敵は来てないわ。大丈夫だったの?」
「何とかな」
俺は答えながらも、前方を見据えた。
どうやら終わりが近づいてきたみたいだ。
視線の先に映し出される光景は……。
杏奈と美沙も俺の視線の先を追う。
「あれが龍の心臓部の入口……」
視線の先には、巨大な龍のオブジェと共に見上げるほど高い門が設置されていた。
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