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門の扉は既に開かれた状態になっていた。
「何あれー」
美沙が、驚きながらも言葉を発した。
その門の奥には、巨大な穴が待ち待ち構えている。
見たところ、穴の外周には階段が作られていて、それが下に続いているようだった。
あの階段を降りて行けば、終末の木に辿り着くってことか?
「やっとここまで来たんだね」
杏奈も俺と同じ場所を見ながら、小さな声でそう呟いた。
美沙は先に走り出して、少し前に進んだところで立ち止まると、振り返りながら門を指差した。
「早く行こうー! ブラックアウトの終わりが見えてきたんだから!」
そうだ……。
この先にある終末の木を破壊すれば、世界が変わる瞬間も止まって、ブラックアウトが終わるはず。
見たところ敵の姿はないみたいだ。
俺たちは終末の木を目指せばいい。
「待て」
美沙は、俺たちの事を気にせずにさらに先に進もうとした。
なんだ?
この嫌な感じは……?
「どうしたの? 仁くん」
近くに見えるはずの門が、実際に目で見ているよりも遠くに感じた。
どうしてそう思ったのかはわからないが、遠くに思えたんだ……。
美沙はどんどん門に向かって走っていく。
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