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その攻撃が剣だと分かったのは、およそ1秒後のこと。
全身を大きく吹き飛ばされた俺は、地面に転がりながらも態勢を整えた。
爪が一撃で破壊されるのは計算外だったけど、それでも美沙を守ることはできた。
美沙は敵の存在に気付くことはできなかったけど、俺の行動を見て大きく距離を取りフードガンを構えた。
敵は、自身の体と同じ大きさほどの剣を振り降ろしたところで、それが俺への攻撃だった事がわかる。
その人物は、会ったことはないが俺もよく知っていた。
マリアのクエストで見た過去に登場してきた人物。
そうだ。世界の王補佐のリーダーであるイエスだ。
王国の騎士のような服装と、手に持つ巨大な剣が印象的で、これまでにないほど洗練された体内エネルギーが溢れている。
龍の心臓部を前にして、やっぱり本命が出てきたか。
「まさか、ここまで辿り着いてくるとはな……」
イエスは剣を振り上げると、深い笑みを浮かべた。
「悪いがここは通すわけにはいかない。もうまもなく世界が変わる瞬間が始まる。それまではな」
俺は、壊された爪を体内エネルギーを使って修復を始める。
「仁くん! 大丈夫!?」
杏奈が俺の前に立って戦闘態勢に入った。
俺たちでこいつを何とかするしかない。
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