龍の心臓部まで-2

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「結局のところ、俺は楽しければ何でもいいんだ」 イエスは大きな剣を担ぐようして肩に置き、陽気な笑顔を浮かべた。 「俺は今までずっとその時々の状況を楽しんできた。そのスタンスはこれからも変わらない。世界が変わった瞬間の後も、何かしらで楽しめればいい」 そして、肩から剣を外すと、切っ先が地面にめり込んだ。 「お前らみたいな必死な人間って嫌いじゃないんだよな。何て言うの? 立ち向かう精神みたいな? そういうのって大事だと思うし、その気持ちに立ち向かうのも大事なことだ。だからこそ、全力で戦ってやるよ」 イエスの全身から溢れ上がる異常なまでの体内エネルギー。 「お前らも全員で俺に立ち向かって来い」 その途端、イエスの体が一瞬にして二体になった。 そして、さらにもう一体増えて三体になる。 「奇跡は存在しない。だけど、奇跡を信じる事は大事だよな」 コピー能力か……。 見たところ、それぞれ全く元々のイエスに引けを取らない強さを持っているように見える。 これがイエスの能力ってわけか。 「少しは楽しませてくれよ」 推定だが、それぞれレベルは8万を超えている。 俺は嫌な汗を拭ってから、爪を構えた。
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