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一度に噛めるのは一人までだ。
だけど、これを上手く応用すれば時間だけは稼げるはず。
6体も居るとはいえ、全ては同じ人物でイエスのはず。
つまり、気を引けばいい。
誰に噛みつくのかをわからなくすればいいんだ。
そう難しい事じゃない。
近づいた時点で黒い力を殺気に変えて、全員に向ければいい。
そうすれば、自然と全員が俺に視線を集中させるはずだ。
同じ人物で、同じ事を考えるからこそ成功する確率は高いはず。
そうなれば、杏奈と美沙は少しでも遠くに逃げる事ができる!
距離を詰めた俺は口から溢れた黒い力を一気に解き放った。
その瞬間、予定通り全てのイエスが俺に注目する。
かかった。
同時に、獅子の足で勢いよく地を蹴って一番近くに立っていたイエスに迫る。
両肩を掴んで引き寄せると、俺は首元にかぶりついた。
ブシュっと口の中で血が弾け飛ぶと共に、黒い力を体内に流し込んでいく。
次……!
俺が殺したイエスを離して、次に行こうとした時だった。
他のイエス5人が、俺との距離を詰めて大剣を振り降ろそうとしていた。
奴等は、初めから一人のイエスを捨てていたって事か?
それほどまでに既に大剣が振り降ろされる準備が整っている。
避けられない。
俺は思わず瞬きをした。
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