誰か一人が……

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――――古手川仁―――― 赤い光と黒い光を纏った和也は、イエスに突き刺した光刀を抜いた。 抜く瞬間と共に、イエスが消え失せる。 残るイエスは3人。 「大丈夫か? 仁」 白煙が和也の元に戻り、霧のように体を隠していく。 「あ、ああ……」 俺は少し唖然としながら、和也に返答をした。 何故、唖然としたかというとその表情だった。 これまでに見せた事がない顔をしている。 決して強い力を持った瞳じゃなくて、何色にも染まっていないような瞳。 上手く表現できないが、どこか虚ろを感じさせてるのに、何もかも全て見えるような不思議な瞳だった。 「それならよかった……まだみんな生きていた……」 和也は少し俯きながら、どこかぼやっとした口調でそう言った。 最も不思議なのは、和也の目に映るものが何なのかわからないと思った点だ。 視界に映るものをただ見ているというよりは、別の何かを見ているような気がする。 だからこそ、違和感を覚えるんだ。 そして……。 今こうしている間も、和也は攻撃を仕掛ける様子はないのに、イエスたちが手を出さない。 外見上は隙があるような感じなのに、手を出したら危険な気がする。 それは味方の俺からしてもわかるものだった。 手を出したら、きっと負けるだろう。 そう思っているからこそ、イエスはまだ動かないんだろう。 和也は、降ろしていた刀を上げて刀身を見た。
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