誰か一人が……

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光刀の方はいつも通りだ。 いつもと異なった雰囲気なのは、やっぱり和也の方だ。 俺はよく注視しながら和也の事を観察した。 すると、すぐにある事に気が付いた。 体内エネルギーだ。 体内エネルギーが和也のものだけじゃなくて、別の誰かの体内エネルギーが混じっている。 何だ? あれは……? 一つはレッドキングダムの王の体内エネルギー。 そして……もう一つは……。 誰のかはわからないが、その体内エネルギーの方にもとんでもない力を秘めている。 和也は、残り3体のイエスたちに向かって眺めていた刀身を軽く振った。 その矢先、イエスたちの体の周囲に風が吹き荒れて、刃のように鋭くなり襲いかかる。 さすがにイエスたちもそれを読み取り、一瞬にしてそれぞれがバラバラになり距離をとった。 今のは……。 見た事がある。 メビウスの輪の神の能力だ。 和也はあんな能力を持っていなかったはず。 一体、この短い時間で和也の身に何があったんだ? そんな中、イエスのうちの一人が一気に和也と距離を詰めて大剣で斬りかかった。 和也は、光刀でそれを受け止めた。 光刀で大剣を止めた和也は勢いよく薙ぎ払うと、その頃には次のイエスが斬りかかっていた。 和也は再び光刀でそれを受け止める。 響き渡る金属が衝突し合う音。 イエスが次々と攻撃を仕掛けるが、和也は全て剣の軌道を読んで受け止めていく。 不意打ちや、一撃の大きな攻撃ではなく、真っ向から戦ってもレベル8万のイエスと互角に渡り合えている。 体の動きが進化したというよりは、見えているものが違うという印象だった。 イエスの攻撃が全て見えているのだろうか? 和也は、イエスが放ってきた斬撃を全て弾くと、メビウスの輪の神が使っていた能力を発動させた。 たった一振りで、イエスにはあらゆる方向からの攻撃が襲いかかる。 その隙をついて、他のイエスが攻撃を仕掛けるが、和也はやはり上手く攻撃を受け止める。 そんな中、一人のイエスが口を開いた。 「驚いたな。こんなに強くなるとは思わなかったぜ」 和也は光刀を構えながら口を開いた。 「久しぶりだな。マイケル」 イエスはその言葉でニヤリと笑った。 「その通り。久しぶりだな」 二人の間には、何かがあったようだった。
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