誰か一人が……-2

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渋谷和也の放ったエネルギーが段々と消えていき、爆発地点を中心に舞っていた砂埃が徐々に晴れていく。 大きく抉れた地面の底には、2体のイエスが息絶えそうになりながら地面を這っていた。 「うぅ……」 他のイエスたちは跡形もなく消し去られた事が窺える。 生き残った2体のイエスたちも、体のところどころが大きく抉られてまともに動ける状態ではなかった。 それでも、生き残ったイエスたちからは変わらぬ量の体内エネルギーが溢れている。 イエスが手を伸ばすと、その付近には新たなイエスがコピーして作られた。 「ちっ」 綺麗な姿を取り戻したイエスは舌打ちをして、新たな大剣も作り出す。 これだけの大きい攻撃を受けたにも関わらず、イエスの体内エネルギーは変わらず。 そして、新たなイエスを作り出せば、すぐに元に戻るという繰り返し。 渋谷和也は、そんなイエスの姿を見た後に、俺に視線を向けて手を伸ばしてきた。 俺の胸に手を当てて体内エネルギーを送り込んでくる。 渋谷和也の腕から流れてくる青白い体内エネルギーが俺の体の中を駆け巡ると、深く負った傷がみるみるうちに治り始めた。 「これでしばらくは何とかなるはずだ」 治療を行える力?
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