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変わり果てたイエスの姿は、原形を完全に失った状態で、化物という言葉が相応しいものだった。
紫色に変化した薄気味悪い身体は、一切のたるみがないほど筋肉質な作り。
その内側に溜められた体内エネルギーが暴れまわり、皮膚が山のように盛り上がって波を打っていた。
頭から生えた2本の長い角は、金色で輝きを放っている。
背中からは大きな黒い翼。
そして、突き刺すように鋭い赤い瞳。
その全てに、凝縮された無限の体内エネルギーが蠢いていた。
俺はその瞬間に、一歩後ろに足を引いた。
渋谷和也も同じ行動をとる。
おそらく感じたことは同じだろう。
イエスから放たれた殺気に、本能が危険を察知して無意識のうちに下がってしまったんだ。
今まで見てきたどんな敵とも比較できないほどの力を持ったイエスを前にして、これほどまでに大きな力を作り上げることができる奴に対して、称賛したいほどだった。
俺は神刀を構えると、身体の内側から命力を放出して刀身に注ぎ込んだ。
『ヒャハハハハハ! やっと楽しくなってきやがった! この野郎! 全力で戦えるように俺様が引き出してやるぜ!』
神刀の悪魔のような笑い声が響き渡った直後、柄が溶けるように形を崩すと手首に覆い被さってきた。
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