誰か一人が……-2

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その直後、神刀が液体に変化したかと思えば、俺の全身を包み込んでいく。 この感覚……久しぶりだな……。 白煙と黒煙もドロドロと溶けて液体に変化すると同時に、俺の体まで集まってきた。 瞬きをすると同時に、俺の体の周囲には炎と水が飛び交い始める。 刀が自発的に力を貸さなければ行えない融合の技。 以前まで渋谷和也はこれを難なく使いこなしていたが、俺は神刀が協力する事を拒む場面が多かった事から、あまり使用する機会が無かった。 神刀が自分から力を貸してくるなんて珍しいことだ。 この力は、相手を斬った時に刀の方には感触が伝わってこないからと嫌がっていたのに……。 体内エネルギーを爆発的に消費する事が欠点だが、それでも今やらなければ殺されるだろう。 自分の全力を出さないと……。 渋谷和也は黒い光と赤い光を放つアルティメットブレイクで、戦闘態勢を整える。 敵は、俺たちの準備が整うまで待っていたのだろうか? 俺と渋谷和也の姿を見て、ニヤリと笑みを浮かべた気がした……。 しかし、次の瞬間、変わり果てたイエスの姿が視界から消える。 俺たちは身構えた。
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