誰か一人が……-2

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イエスは次第に閃光の数に圧倒され始めた。 大剣の防御が間に合わず、心力で防ぐ事が多くなってきたんだ。 神刀から放つ閃光の数を増やしていっているのだから、当然の事だろう。 一つ一つの閃光は大して攻撃じゃない。 それでも数が多くなる分、体内エネルギーは大量に消費されていく。 もう少しだ……。 もう少しでイエスの完全な隙を作り出す事ができる。 俺は全力で神刀に体内エネルギーを注ぎ込み、そして全力で振り続けた。 問題は、奴が持つ大剣でも、全身を覆っている心力でもない。 奴がバランスを崩す事が重要だ。 バランスを崩した瞬間に、一気に詰め寄り大きな攻撃を放つ。 治癒方法が自分の体の一部分をコピーする事から、致命的なダメージを負わされた場合はカバーしきれない可能性が高い。 コピーできないほどの損傷を負わせれば、最強の能力者であるイエスは陥落する。 イエスをここまで追い込めたのは、俺の実力じゃない。 俺の前に戦った和也のおかげだろう。 拾ったような勝利だが、それも今の俺は悪くないと思っている。 その時だった……。 イエスが左右からの閃光を大剣で受け止めきれず、体に直接受ける。 その直後、一瞬だけ体勢が崩れると、一気にあらゆる方向からの攻撃が直撃した。
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