506人が本棚に入れています
本棚に追加
次にイエスの姿を捉えたのは、俺と渋谷和也の目の前に現れた時だった。
はやい……。
現れた瞬間には、既に攻撃を行う準備が整っているようだった。
イエスは大木のように太い腕を振りかざし、拳を握りしめている。
背筋に走る寒気。俺ほぼは無意識のうちに地面を大きく蹴っていた。
隣に居る渋谷和也も同じ行動をとる。
それぞれ俺たちは左右に大きく跳んでいた。
渋谷和也とは距離ができて、その中間地点にイエスが立っている。
その時には、イエスは拳を振っていた。
途端に、大地に大きな亀裂が走り、空気が振動する。
イエスが拳を振った場所から強烈な風が吹いて、俺は真正面から受け止める形になった。
息ができないほどの強風。
凄まじい風の音が耳の鼓膜を刺激して、俺は何十メートルも吹き飛ばされた。
何なんだよ。この規格外の力は……。
たった一撃で、その強さを悟る事ができた。
何故、イエスがこの変形を行ったのか……。
体内エネルギーを体にとどめるだけで、こんなにも大きく違うものなのか……?
イエスはさらにその場で拳を握り締める。
すると、宙に飛ばされていく渋谷和也の方を向いて、その拳をもう一度振った。
最初のコメントを投稿しよう!