誰か一人が……-2

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次にイエスの姿を捉えたのは、俺と渋谷和也の目の前に現れた時だった。 はやい……。 現れた瞬間には、既に攻撃を行う準備が整っているようだった。 イエスは大木のように太い腕を振りかざし、拳を握りしめている。 背筋に走る寒気。俺ほぼは無意識のうちに地面を大きく蹴っていた。 隣に居る渋谷和也も同じ行動をとる。 それぞれ俺たちは左右に大きく跳んでいた。 渋谷和也とは距離ができて、その中間地点にイエスが立っている。 その時には、イエスは拳を振っていた。 途端に、大地に大きな亀裂が走り、空気が振動する。 イエスが拳を振った場所から強烈な風が吹いて、俺は真正面から受け止める形になった。 息ができないほどの強風。 凄まじい風の音が耳の鼓膜を刺激して、俺は何十メートルも吹き飛ばされた。 何なんだよ。この規格外の力は……。 たった一撃で、その強さを悟る事ができた。 何故、イエスがこの変形を行ったのか……。 体内エネルギーを体にとどめるだけで、こんなにも大きく違うものなのか……? イエスはさらにその場で拳を握り締める。 すると、宙に飛ばされていく渋谷和也の方を向いて、その拳をもう一度振った。
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