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ノーガードになるイエスを見るのは、これまでで初めての出来事だった。
全身を覆う心力は、俺の全力の一撃なら破ることは容易い。
焦ってはいるのだろうが、イエスは追い詰められたような雰囲気はなかった。
死を覚悟している……?
それとも別の考えがあるのだろうか……?
いや、ないはずだ。
神刀から放たれる膨大なエネルギー。
この一撃でイエスを必ず仕留める。
『ヒャハハハハハハ!』
イエスは、地面に手をついたまま、じっと俺の事を見据えてくる。
自分の死を感じている人間がこれほど落ち着いているのだろうか?
大剣もない。コピーもできない。
これ以上にない絶好のチャンスのはずだ。
妙な胸騒ぎがしたが、この時点で引くわけにはいかなかった。
俺は、イエスを真っ二つにするぐらいの気持ちで神刀を振ろうとした。
「――――!」
その時だった。
腹部に凄まじい衝撃が走ったのは……。
「なっ」
俺はすぐさま自分の腹部に視線を移す。
腹からは刀身が飛び出ていた。
後ろから刺された……?
ありえない……!
見上げると、イエスの大剣は弾かれたまま宙を舞っている。
じゃあ、どこから……?
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