誰か一人が……-2

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自由自在にコピーを行う事ができるイエスの能力。 その無敵な能力を取り戻したイエスは、もはやどこにも死角がないような気がした。 おそらく一定の時間が経過するか、もしくは何らかの条件を満たした事により、能力が復活したんだ。 イエスの体からは、泉のように体内エネルギーが溢れている。 これほどまでに底が見えない事は、もちろん今までで経験がない。 というより、この状態ならば底なんてないんだろう。 だからこそ、イエスの能力は最強なんだ。 さらに、コピーしたイエスは、それぞれが大剣を手にしている。 「くっ」 たった一人を倒せばよかったはずなのに……。 こうなったらイエスを倒す手段が思い浮かばねえ。 とにかく、もう一度さっきの状態にするならば、イエスをなるべく動かす事が重要になってくる。 しかし、それも……。 俺は自分の胸に空けられた傷口に触れた。 生きているのが不思議なほどの深い傷。 まともに動くことすら、もう難しいだろう。 ゲームオーバー。 初めて、その言葉が頭に思い浮かぶ。 俺は膝をついたまま、イエスの事を見据えた。
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